3932.jpg
特定政党のサクラ強要?上司から「選挙演説を聞きに行け」こんな命令は許される?
2025年07月17日 10時38分
#公選法 #選挙 #選挙活動 #サクラ

「◯◯党の◯◯さんが駅前で選挙演説をするから、聞きに行ってほしい」

仕事中に管理職から"サクラ"として演説を聞くよう要請されたという相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。相談者は、断れば今後の仕事に影響するかもしれないと思い、しぶしぶ駅まで足を運んだといいます。

相談者によると、勤務先の会社は、その政党とつながりがあり、会社のイベントにその政党の議員が出席することもあったそうです。

業務命令に見せかけた"政治活動の強制"とも受け取れるこのケース。会社の管理職が部下に特定政党への関与を求める行為は、法的に許されるのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。

「◯◯党の◯◯さんが駅前で選挙演説をするから、聞きに行ってほしい」

仕事中に管理職から"サクラ"として演説を聞くよう要請されたという相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。相談者は、断れば今後の仕事に影響するかもしれないと思い、しぶしぶ駅まで足を運んだといいます。

相談者によると、勤務先の会社は、その政党とつながりがあり、会社のイベントにその政党の議員が出席することもあったそうです。

業務命令に見せかけた"政治活動の強制"とも受け取れるこのケース。会社の管理職が部下に特定政党への関与を求める行為は、法的に許されるのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。

●強要があれば憲法や公選法に違反の可能性

──職場で特定政党や候補者の演説を聞きに行くよう、上司に「指示」された場合、それに従う義務はあるのでしょうか。

選挙に関連して、特定政党の候補者の演説を聞きにいくよう求める会社の指示に、法的な強制力はありません。

そもそも、こうした行為が労働契約上の「業務」に含まれることはなく、そのような命令は無効です。

さらに、従業員には憲法19条で保障された思想・信条の自由があります。特定政党の演説を聞くかは、あくまで個人の自由であり、たとえ勤務先であっても強制は許されません。

加えて、演説を聞くことを実質的に強要した場合、公職選挙法に違反する可能性もあります。

──では、従業員に有給休暇をとらせたうえで、その休暇中に政治活動をさせることは可能でしょうか。

有給休暇は、従業員が労働から離れて自由に使える時間であり、会社が休暇中の従業員に特定の活動を命じることは認められません。

●断ったことによる不利益は違法

──もし従業員が断ったことで不利益を受けた場合、どうなりますか。

演説を聴きに行くように命じられた従業員が、これを拒否しても、その命令自体が無効であるため、これを理由に懲戒処分を下すことはできません。

また拒否したことを人事考課において不利に扱うことも違法です。

さらに、こうした無効な命令が繰り返されれば、嫌がらせやハラスメントと評価される可能性があります。度が過ぎる場合には、会社に損害賠償などの法的責任が生じることも考えられます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る