この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
被相続人がお母様、相続人がそのお子様3人(ご長男、ご二男、ご長女)という相続関係でした。ご長女が依頼者様で、結婚されており、お子様が1人おられました。一方、ご長男とご二男は、お二人とも独身で、それぞれ東京で生活しておられました。依頼者様は、8年間にわたり、被相続人をご自宅で引き取って世話をされました。被相続人が逝去された後、遺産分割の話し合いになりましたが、依頼者様は、ご長男とご二男から委任を受けた弁護士から、「被相続人の預金から8年間にわたって不当な出金がされている」と主張され、その出金総額の返還を求める裁判を起こされました。依頼者様は、この裁判の対応を当職に委任されました。
解決への流れ
その出金は、依頼者様が被相続人の了承を得て、被相続人のために出金して支払に充てたものであり、全く不当なものではありませんでした。裁判においては、当事者尋問も行い、8回の裁判期日を経て、「(依頼者様が行った)被相続人の預金からの出金は、いずれも不当なものではない」との判断がなされ、依頼者様の主張が全面的に認められることになりました。
好意で被相続人の預金の管理・出金を行った場合、他の相続人から「不当出金である」との主張がされる場合があります。このような場合、後から被相続人の了承があったことや、被相続人のためにしたことをきちんと証明することは困難な場合が多いかと思います。このような場合は、被相続人の了承があったことや、被相続人のためにしたことが分かるような証拠をあらかじめ残しておくことが重要でしょう。しかし、そのような証拠をあらかじめ残せなかった場合であっても、預金通帳を見て問題となり得る出金をピックアップし、それぞれの出金時の被相続人の状態、出金したお金の使途、それについての領収証等の関連資料を丁寧に整理することで、不当出金ではないということを証明できる場合もあります。今回の裁判では、当事者尋問において、それぞれの出金時の被相続人の状態、出金したお金の使途、それについての関連資料について、依頼者様やその旦那様に丁寧に供述していただきました。依頼者様からは、「全く面倒を見てこなかった弟たち(ご長男とご二男)からこのような請求を起こされてとても憤慨していましたが、自分の言い分がきちんと認められて本当によかったです。ありがとうございました。」との感謝のお言葉をいただきました。