この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
夫の残した小さなアパートの賃料収入で生活をする高齢の女性からのご依頼でした。賃料不払いが発生しているということであり、どうやら、不払の期間も、だいぶ長期にわたっているようです。ご依頼者によれば、催告しても、なしのつぶてで、たまに訪問しても居留守をつかわれて、めったに会えない状況のようです。
解決への流れ
私からお手紙を送りましたが、やはり返事をいただけず、結局、訴訟を提起し、その中で解決を図らざるを得ませんでした。さて、借主と会って、いろいろと話を聞くと、母と子供らの3人家族で、生活に窮する状況にあるようです。なるほど、不払いの事情は良く分かりましたが、不払いを許容するわけにもいきません。明渡しの日、一人の子供の泣きそうな表情を見て、せつない気持ちになったのを覚えています。
賃料不払いによる建物明渡しは、よくあるケースであり、私の知る裁判官は「実質的に争点がない事件」だと表現しました。事件自体は,それほど難易度の高いものではありません。貸主にとっては、なるべく早く明渡しを実現し、賃貸物件の収益性を一刻も早く回復することがなにより重要です。ですから、賃料不払いは、決して、長く放置せず、出来る限り早期に対策に取り掛かる必要があります。実は、ご紹介したケースでは、私の関与を機に、借主世帯に生活保護が開始することになり、結果的に、それがスムーズな転居と明渡しにつながりました。厳しいだけのアプローチでは、必ずしも功を奏さない場合があるということだと思います。