この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
相談者夫婦は母親と同居し、母親の晩年の介護にも尽くしていました。母親が亡くなり、母親名義の土地建物と預金が遺されましたが、相談者には二人のきょうだいがいました。妹は姉である相談者に相続分を譲渡すると言ってくれましたが、弟はすでに死亡しており、調査したところ、生前二度の結婚を経験した弟には計8人の子がいることが判明しました。そこでこれら弟の代襲相続人との間で遺産分割協議をする必要が生じました。相談者は自分の手には負えないということで、当職に相談に来られました。
解決への流れ
当職にてまず不動産の評価額を調査しました。その上で、代襲相続人の方全員に、丁寧な手紙を書き、不動産と預金は相談者が取得することとするが、その代わり、代襲相続人の方には代償金として、遺産の評価額から算出される法定相続分より少し低めに算出した一律の金額を全員にお渡しすることで遺産分割に同意していただきたい旨お願いをしました。そうしたところ、幾人からお電話をいただき、口頭でご説明するなどして、無事全員から快く同意を取得することができました。そこで、遺産分割協議書を作成し、不動産の登記を相談者名義に移転し、預金を解約して引き出すとともに、代襲相続人の方に代償金を全て支払って円満に解決することができました。
本事例のような遺産分割のご依頼を受けることは比較的多くあります。依頼者の意向を優先しつつ、なるべく全員が納得できるような公平な分割案を検討することが大切かと思います。遺産分割案の根拠となる事実関係や考え方を正確かつ詳細に説明し、丁寧な文章で、礼を失することのない文面にてご連絡をすることで、普通は前向きに検討していただくことができるかと思います。早期に円満に解決することができて、依頼者にも大変喜んでいただくことができました。